新見正則・白杉望による下肢静脈瘤のはなしと血管疾患のはなし このサイトについてサイトマップ
       
 

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[詳細]下肢静脈瘤

手術後の注意点・再発など

手術後の制限

浸潤麻酔による手術では手術翌日より就業・家事など普段通り可能です。腰椎麻酔を要するストリッピング手術では、通常の2泊3日の退院後、一両日はのんびりされた方が良いと思います。入浴は退院翌日からはビニールなどで被ってシャワー可能。手術後3日からは防水用絆創膏で創部を被って入浴可能としています。しかし実際は抜糸まで入浴は控えてシャワーだけを希望する患者さんも多いです。欧米では数日すれば、創部に何も貼らなくてもシャワー可能が普通です。

再発率

再発は、血管外科医が施行した手術部位からは生じません。しかし、下肢を全体とし て考えれば、他の静脈の弁が傷害される可能性は常に存在します。わたしは、脚全体 として1から数%は再度局所手術が必要とお話をしています。

 

しかし、再発の多くは硬化療法か局所手術で治療可能です。

 

レーザー治療の場合、2年間の成績は問題ないようですが、5年後、10年後の成績は不明です。

 

手術後の写真

下肢静脈瘤の手術後の写真です。いずれも約1ヶ月後にて、6ヶ月、1年と時間が経過するほどに殆ど見えなくなります。しかし、まれにケロイド体質の方や、肌の色が極端に白い方などは、傷を気にされる方もいます。

合併症

血管外科医が行う下肢静脈瘤の手術では命に関わる合併症は生じません。
時々起こる合併症といえば、
(1)全長にわたるストリッピング手術による知覚神経の障害
(2)硬化療法による色素沈着・有痛性血栓
(3)術後の皮下出血斑
(4)腰椎麻酔による頭痛
(5)手術創の瘢痕化
などでしょうか。どれも通常は時間の経過とともに軽快します。

 

しかし、血管外科手術に精通していない医者に、下肢静脈瘤の手術を頼まない方が良いでしょう。以前よりいろいろな合併症の報告を間接的に、また噂として、聞いていましたが、今回相談を受けたものは、全くの医療ミスと考えます。

 

「自殺は手術ミス原因」家族が損害賠償提訴
手術ミスで右足がえ死を起こして切断されたため、妻(52)が自殺したとして、その夫(52)ら家族四人が二十七日までに、手術をした????を相手取り、約九千万円の損害賠償を求める訴えを起こした。訴状などによると、妻は一九九九年六月、同クリニックで、両足の太ももから足首にかけて「下肢静脈りゅう」と診断された。翌月、症状のある静脈の摘出手術を受けたが、????は右足の動脈を誤って取り除き、右足がえ死を起こした。妻は翌日、県内の病院に転院し、右足を切断。退院後の今年四月二十八日に自殺した。自分の日記に「できて当たり前のことができなくなり、絶望した」などと書き残していた。静脈りゅうは、血液の逆流を防ぐために静脈内に数多くある弁の一部が壊れ、血流が悪くなる病気。????は「動脈を取ったことと、え死とは直結しない。取り違えたのは、動脈も血栓を起こしていて、見分けがつきにくかったから」と話している。夫は「え死は急に起きたのだから、動脈を取ったことが原因なのは明らか」と話している。

 

帝京大学医学部付属病院第一外科の新見正則講師の話
「下肢静脈りゅうは中年女性には珍しくない病気で専門医なら手術も難しくない。血栓を起こした動脈と下肢静脈りゅうの静脈を間違えることは、血管を専門とする医師であれば、考えられない」

(読売新聞朝刊6月27日)

 

 
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