新見正則・白杉望による下肢静脈瘤のはなしと血管疾患のはなし このサイトについてサイトマップ
       
 

新見正則ホームページ
新見正則の著書

[詳細]下肢静脈瘤

下肢静脈瘤の治療方法

治療の原則は、血液のうつ滞を取り除くことです。溜まった下水を取り除くという印象です。静脈血は寝ていれば(心臓が足よりも同じか低い位置にあれば)重力で心臓に戻ります。一生寝ていれば、下肢静脈瘤になりませんし、また、現在あるかたでは、進行しません。
実際の治療は、簡単なものから、入院が必要でしっかりしたものまで以下のようなものがあります。

 

(1)弾力ストッキング
(2)硬化療法単独
(3)高位結紮+硬化療法
(4)レーザー治療+高位結紮+硬化療法
(5)日帰り伏在静脈選択抜去+硬化療法 (日帰りストリッピング
(6)伏在静脈選択抜去+静脈瘤切除+硬化療法
(7)伏在静脈全長抜去+静脈瘤切除+硬化療法

 

(1)弾力ストッキング

立っていても寝ている状態を作るものです。普通のストッキングに見えますが、横糸の編み方が特殊で、微妙な圧力を作り出します。静脈瘤を含めた表在静脈はしっかり圧迫してつぶす。深部静脈はすこし抑える。動脈は閉塞することがない。という圧力になっています。また、足先から中心に向かって徐々に圧力が弱まるようになっています。
履く時期は、寝ている状態を作るものですから、寝ていないときには履くのが基本です。寝ているときに履いても大丈夫です。自分のからだにあった医療用弾力ストッキングをしっかり着用すれば、静脈瘤の進行は止まります。
いろいろな理由で手術を一生したくない方は、起床前に医療用弾力ストッキングを履き、入浴以外は就寝まで着用してください。しかし、3年間ぐらい手術を延ばしたいのであれば、外出時だけ着用するだけでも良い場合が多いです。1年手術を延ばしたいのであれば、立ち仕事の時に履くだけでも通常は十分でしょう。
最近は約4000円ぐらいに値段が下がりました。
暑くて、きつくて履けない、皮膚が負けて履けないなどの場合は手術をしたほうがすっきりします。

 
写真は膝下タイプのストッキングです。履き方のこつを習得するまで、すこし履きにくいと思いますが、一度ストッキングの気持ちよさを体験すると手放せない方が多いようです。

アンシルク【株式会社 ザイタック】は医療用としては一番廉価で販売しています。

まず、このストッキングを試されて、その後、他のメーカーをご希望の方は、高価なものを購入されてはいかがでしょうか

 

(2)硬化療法

下肢静脈瘤の治療の基本は、静脈のうつ血をなくすことです。硬化療法とは血液が溜まる静脈を糊で固めてしまおうという治療です。糊とは血栓(血の固まり)を作る硬化剤です。拡張した静脈に糊(硬化剤)を注入し、そして静脈が押しつぶされるように上手に圧迫します。欠点は血液との交通がしっかりあると再発するということです。また、上手く圧迫されないと大きく膨れた状態で血栓ができますのでとても痛いです。また、多量の硬化剤の使用は、個人差がありますが、皮膚に茶色い色素沈着を残します。ですから、硬化療法の一番の適応は、大伏在静脈や小伏在静脈に逆流がない軽い軽い下肢静脈瘤です。外来で施行可能で、歩いて帰宅できます。しっかり弾力包帯圧迫しますので足は包帯でミイラのようになります。その日は入浴は控えて、翌日からは入浴時以外は数日間弾力包帯を巻いて頂きます。健康保険は平成6年に認められました。硬化療法のもうひとつの適応は、根治手術後に残った小さな静脈瘤です。根治手術は後述しますが、大伏在静脈や小伏在静脈が摘出されています。ですから当然に逆流はなくよく効きます。硬化療法があるお陰で、手術の創の数がとても少なくなりました。手術時間がとても短くなりました。そして、多くの小さな静脈瘤は大伏在静脈や小伏在静脈を摘出すれば硬化療法をしなくても消失することが判明しました。

 

 

(3)高位結紮術と硬化療法の併用

硬化療法単独で 実際に結構静脈瘤は消失します。しかしこれは糊がきいて潰れている状態です。大伏在静脈や小伏在静脈に逆流があれば、その血液の逆流が糊(血栓)を溶かしてしまいます。つまり血液との硬化療法単独治療は大伏在静脈や小伏在静脈に逆流があれば再発します。そこで硬化療法の硬化を増すために、再発の原因である大伏在静脈の根本を縛ろうというのがこの治療です。創は付け根一カ所ですので、局所麻酔(歯の治療の麻酔です)で処置が可能です。ですから、日帰り手術と硬化療法で下肢静脈瘤に対応しようという治療です。しかし、縛る場所が伏在静脈の根本一カ所ですので、再発することがあります。縛った上下に沢山の小さな血管が再生しあたかも縛っていないようになることがあります。また、ふとももの深部静脈と交通する小さな枝が太くなり逆流することがあります。ですから、この治療の適応は、逆流が少なく、大伏在静脈の最大径が6から7mmで、静脈瘤があまり大きくなく広範囲ではないことです。再発リスクを減らすために太ももでも1から2カ所大伏在静脈を縛ることがあります。

 

(4)レーザー治療+高位結紮術+硬化療法

高位結紮手術が再発を招く理由は、大伏在静脈の根本一カ所を縛り、ふとももの大伏在静脈が残存しているからです。そこで、ふとももの大伏在静脈を内側からレーザーファイバーを通して、やけどをさせて使い物にならなくしようという方法が、レーザー治療です。これはとても有効です。現在2から3年間の再発に関しては、良い成績が出ています。レーザー治療は片足であれば、局所麻酔を薄めた麻酔(浸潤麻酔)にて処置が可能ですので、入院は不要です。両足の方は、日帰り手術を2回やれば良いわけです。その後は外来で膝下の静脈瘤に硬化療法を行います。欠点はレーザー治療はまだ健康保険の適応であはりません。また、5年後の再発率は不明です。膝下に静脈瘤が広範囲にある場合はは頻回の硬化療法が必要です。

 

(5)日帰り大伏在静脈選択抜去+硬化療法(日帰りストリッピング)

レーザー治療はふとももの大伏在静脈を残してはいるが、内側からやけどをさせて処置しようというアイディアです。レーザー治療を多数行っていると、同じ浸潤麻酔(局所麻酔を薄める)で大伏在静脈が摘出できることがわかりました。レーザー治療と同じように入院不要で、その後に外来で硬化療法です。こちらは、後述するストリッピング手術ですので、健康保険は当然使用できます。片足のみです。両下肢希望の場合は、日を改めて行います。

 

(6)大伏在静脈選択抜去+静脈瘤切除(入院)

こちらの治療は、入院していただき(1泊から4泊)しっかり、綺麗に一回で治しましょうという根治治療です。麻酔は腰椎麻酔か全身麻酔です。両足同時に手術可能です。両下肢に静脈瘤がある方、膝下の静脈瘤が広範囲の方、一回ですっきり治りたい方にはお勧めですが、入院が必要なことが欠点です。中等症(皮膚に変化がない場合)は膝下までの大伏在静脈を抜去しています。手術後半年から1年して、気になる静脈瘤がある場合は外来で硬化療法を行います。

 

(7)大伏在静脈全長抜去+静脈瘤切除(入院)

こちらの治療もほとんど(6)と同じですが、大伏在静脈は全長で抜去します。重症例の方で、大伏在静脈は全長に逆流があるかたが適応となります。こちらの治療も入院(1泊から4泊)していただきます。

 

(補足)小伏在静脈の逆流のみの患者さん

片足であれば局所麻酔による日帰り手術、両足は入院。しかし片足でも広範囲に及ぶ場合はは入院、両足でも軽い場合は日帰り手術が可能です。

 

患者さんの選択肢が増えた

硬化療法と局所手術、レーザー治療の導入によって、下肢静脈瘤の治療法(入院治療か外来治療か)を患者さんが選べるようになりました。ストリッピングの利点は3日の入院でほぼ治療が終了することです。そして、再発がまずないということです。一回ですっきりと治りたい方には最適の治療です。一方、硬化療法と局所手術、レーザー治療、日帰り伏在静脈抜去による治療は、すべてが外来通院にて行えるため、仕事や家事を休む必要がないということです。治療期間は静脈瘤の症状と患者さんの希望により異なりますが、わたしは入院期間と同じぐらいの日数が通院で必要とお話しています。また、レーザー治療や日帰り伏在静脈抜去は今後さらに普及すると思われます。

 

 
    pagetop  

Copyright (C)1998-2007 Masanori Niimi All rights reserved.